ストーリー
スタートーチ学園、ラベル学部所属。かつて「エクソストライダー」の適格者だった彼女は、 今や星の海で軽やかに歌う、デジタルゴーストとなった。
『スペーストレック・コレクティブより取得:スタートーチ学園 学生ファイル』 『共鳴能力検査報告書 RA2362-G』 氏名:エイメス 適格者資質の有無:あり 共鳴能力概要:被検者のラベル曲線は平穏な上昇傾向を示し、最終的に安定した波形を見せたため、自然型共鳴者と認定する。音痕は胸部に位置する。 入学前に提出された個人ファイルおよび本人の自己申告に基づき、対象は▇▇▂▇▋▌▏▉█……残念だけど、この報告書はもう参考にならないよ。だってこれ、「生前」の記録だもんね~というわけで、私が補足してあげる。今の私は、すでにエクソストライダーの共鳴者になってるの。音痕も以前とは変わってるし、状態だってそこまで安定してないんだ。能力は……「エクソストライダー武装」を具現化して、それと融合すること。簡単に言えば変身よ、変身! もちろん、戦いやすいようメカスカウトには自律稼働ロジックも組み込んであって、今のところシミュレーションでの連携は悪くないかな。ビームカノンのカバー範囲も最大限に活かせるしね。それ以外にも、「デジタルゴースト」としてデータシステムの内部に侵入することもできるよ。 まあ、これは共鳴能力の一部とは呼べないかもだけど、共鳴した時の特殊な状態による……▇▉▇▇▂▇よ。 <i>「妙だな、この学生のファイル……どうして破損しているんだ?開いても文字化けばかりだ」</i> <i>「あの行方不明になった適格者か? ふむ……ルシラー学園長に報告しておこう」</i>
『スペースファンタジー・カティアVI』。ソラリスのプレイヤーの間で話題沸騰となっている、名作シリーズの最新作。 没入感あふれる重厚なシナリオ、やり応えのある戦闘システム。英雄として孤独な旅を続けながら、十数人もの個性的な仲間と出会い、宇宙の大悪党たちと対決する……そんな壮大な本編もさることながら、エイメスが特に気に入っているのは、隠し要素として収録されている「あのミニゲーム」だ。本編をクリアした後、彼女はよく家族と一緒に、協力プレイを楽しんでいるという。 <i>「ふふん、ブロックパズルのスコアランキング……やっぱり最後は、私が一位だね!」</i>
エイメスの目を覆っていた両手が離れると、目の前には小さな箱が現れた。 傍らにいた4人の親友たちは、にこにこと笑いながら「早く開けてみて!」とせかす。そうして箱の中から出てきたのは、エクソストライダーのミニフィギュアだった。適格者である彼女たちは、小鳥のようにさえずりながら、「誕生日おめでとう」と口々に祝う。そして、エイメスが無事に「エクソストライダー」のパイロットになれるように、また本当の星空へ一緒に行けるようにと願ってくれた……エイメスは何かを言いかけたが、結局、心の奥底に秘めた「あの願い」を口にすることはなかった。 彼女はそのプレゼントを愛おしそうに撫でると、立ち上がり、満面の笑みで友人たちの輪の中へ飛び込んでいった。
エイメスは校舎の屋上に腰を下ろし、心地よい風を浴びていた。 これまでに、数え切れないほどの紙飛行機を折ってきた。けれど、湖畔の家で作った「最初の一つ」のことだけは、片時も忘れたことがなかった。窓の外の雪嵐とは無縁の、暖かな午後の日差し。パチパチと薪がはぜる、暖炉の音。夕食のスープが漂わせる、甘く濃厚な香り……隣では、家族が器用な手つきで、もっと遠くまで飛ぶ紙飛行機を折ってくれている。ふと顔を上げると、「あの人」が微笑みながら、完成したばかりのそれを手渡してくれた。 ……そんな温かな光景は、まどろみのような追憶の中に溶けていく。我に返れば、目の前には変わらず学園の景色が広がっていた。エイメスは微かに微笑むと、新しく折った紙飛行機を、風に乗せて空へと飛ばした。


